ヴァレンティノ

ケイスケヨシダ(KEISUKEYOSHIDA)の2020年秋冬コレクションが発表された

不確かなこの身体

ケイスケヨシダ 2020年秋冬コレクション - 不確かな身体、“わたし”の存在を確かめる|写真18

人の身体は不確かだそれは身体が刻一刻と変化し、時に病に冒されるからだけではない自分の背中や顔を見ることもかなわず、鏡や写真にうつしてどうにか全体像を掴めるにすぎないためでもある“I’m here”という言葉を掲げた今季のケイスケヨシダは、そのように脆く不安な“自分という存在”を、衣服を通して確かめているようだ

古着が織りなす“身体”

ケイスケヨシダ 2020年秋冬コレクション - 不確かな身体、“わたし”の存在を確かめる|写真14

今季の製作は、古着の山を漁ることに始まったという1つの生を終えたTシャツを解体し、繋ぎ合わせることで作りあげたボディスーツは、首から手の先まで、身体をぴたりと覆う覆うというより、想像上の表皮を織りなしていると言ったほうがいいかもしれない実際、スリーブは一部途切れて、“本当の(?)”素肌が剥き出しになっている

“存在”感あるジャケット

ケイスケヨシダ 2020年秋冬コレクション - 不確かな身体、“わたし”の存在を確かめる|写真6

そんな不安な身体なのだから、上に纏うのは“存在”感のあるものでなくてはならないシワ感のある生地で仕立てたジャケットは、ピークドラペルを小さく抑え、パワーショルダーや半ばで切り替えたスリーブの立体感を強調したまた、スリーブの上部にはスリットを開けているルネサンス期には、スリットから下に身につけたシャツの布地を引き出すことで豊かな装飾性を楽しんだことだろうが、ここではタトゥーのようなボディスーツや素肌を覗かせ、身体の不確かさをなおも仄めかしている

礼服を基調に

ケイスケヨシダ 2020年秋冬コレクション - 不確かな身体、“わたし”の存在を確かめる|写真20

ピークドラペルのジャケットに見るように、基調となったのは礼服であるダブルブレストのチェスターコートには、フロントに大胆なカッティングを施すとともにスリットを開け、後ろに隠れる身頃を覗かせたまた、ピンストライプのジレやスラックスには多数のボタンを並べて、アグレッシヴな表情に仕上げているある種の不変性を有する礼服が、身体の脆さ、そしてモードの移ろいに抗する要石となっている

網、リボン……

ケイスケヨシダ 2020年秋冬コレクション - 不確かな身体、“わたし”の存在を確かめる|写真9

フーディにシャツ、厚みのある生地で仕立てたステンカラーコートを重ねて、全身に鮮やかな赤を纏っても、まだ自分の存在が不安でならないだからこそ、ダッフルコートのトグルで結びつけた網で、自分のこの身体をしっかり捕まえておく

ケイスケヨシダ 2020年秋冬コレクション - 不確かな身体、“わたし”の存在を確かめる|写真4

あるいは、上品な生地感のシャツには、フロント、ネック、そしてスリーブまで、至るところにリボンを結びつけてヴァレンティノ スーパー コピーリボンというとかわいらしいイメージだが、ここでは装飾である以上に、身体をぎゅっと締め付けて、自分の存在を確かめるための要素として作用しているややもすれば底なしの不確かさに落ち込む、自分という存在その輪郭を静かに、しかし執拗なまでになぞる“生への執着”が表現された

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投稿者 grapixinc